
「北海道にはカマキリがいない」と思っていませんか?
実は近年、札幌や江別など道央でもオオカマキリの目撃例が急増しています。
北海道博物館の調査では、2025年に道内の広い範囲で多数のオオカマキリが確認され、越冬や繁殖の可能性も詳しく調べられました。
この記事では、北海道におけるオオカマキリの分布、増えた理由、見つけやすい時期や場所、卵のうの特徴まで、最新の公式情報をもとに分かりやすく解説します。
オオカマキリは北海道にもいる?分布の現状を最新情報から解説

「オオカマキリは本州の虫で、北海道にはいない」と思っている方もいるかもしれません。
しかし現在の北海道では、道南だけでなく札幌周辺を含む道央でもオオカマキリが確認されています。特に2025年は目撃記録が急増し、その状況は北海道博物館によって詳しく調査されました。
北海道にもオオカマキリは生息している
結論からいうと、北海道でもオオカマキリは確認されています。
国土交通省の生物情報でもオオカマキリの分布には北海道が含まれており、北海道博物館の研究では過去の文献から近年の目撃情報まで詳しく整理されています。
ただし、「北海道全域にもともと普通にいた」という意味ではありません。
道南では古くから記録がある一方、札幌や江別など道央では、以前は一時的に持ち込まれた個体と考えられる例が中心でした。
それが2020年代に入って状況が変わり、複数地域で幼虫・成虫・卵のうが確認されるようになっています。
北海道におけるオオカマキリの分布は、今まさに変化していると考えたほうがよいでしょう。
道南では古くからオオカマキリの記録が残っている
北海道のオオカマキリは、突然2025年に現れたわけではありません。
北海道博物館の2026年の調査報告によると、1935年刊行の「函館市史」には函館付近の動物として「かまきり」が記載されています。
当時の種構成などから、オオカマキリだったと考えられています。
さらに渡島半島南部や奥尻島には過去から複数の記録があり、この地域について北海道博物館は、以前から繁殖する分布地だったと考察しています。
つまり「北海道にはオオカマキリが存在しなかった」という理解は正確ではありません。
道南では以前から生息し、それより北の地域で近年になって確認例が急激に増えている、という捉え方が実態に近いでしょう。
札幌・江別・北広島など道央でも確認が増えている
大きな変化が起きているのが札幌を含む石狩低地帯です。
北海道博物館の調査では、2024年ごろから、それまで記録の少なかった地域でも確認地点が増えました。2025年になると、点在していた記録が面的な分布に近い状態へ変化したと報告されています。
札幌市が実施した「さっぽろ生き物さがし2025」でも、オオカマキリの報告は13件ありました。
2024年は2件、その前の2年間は0件だったため、明らかな増加が見られています。
「札幌で大きなカマキリを見たけれど、見間違いでは?」と驚くかもしれません。しかし今では札幌市内で確認されても不思議ではない状況になっています。
2025年に北海道でオオカマキリが大発生した
北海道における転機となったのが2025年です。
北海道博物館は過去の文献、昆虫研究者や自然観察者からの情報、SNSなどを集め、合計428件のオオカマキリに関する情報を整理しました。
2025年には石狩低地帯を中心に記録地点が一気に増加し、さらに留萌市や旭川市でも確認されています。
野幌森林公園では1日に10頭以上確認される日があり、安平町では1日に数十頭が確認された例も報告されました。
これほど多くの個体が同じ年に確認されたことで、単発的に運ばれてきた個体だけでは説明しにくくなりました。地域内で繁殖し、次の世代が育っている可能性が強く意識されるようになったのです。
2026年も札幌周辺でオオカマキリが確認されている
2025年だけの一時的な現象だったのかも気になるところですが、2026年にも確認は続いています。
札幌市豊平区の西岡公園では、2026年9月6日に行われた「西岡ヤンマ団」の活動中、団員によってオオカマキリが採集されたことが公園公式サイトで紹介されました。
北海道博物館も2026年8月、野幌森林公園で「トノサマバッタとオオカマキリをさがそう!!」という自然観察会を開催しています。
少なくとも札幌周辺や野幌森林公園では、オオカマキリが一過性の珍客とは言い切れない状況になってきました。
今後数年間の調査によって、どの範囲で安定して世代交代しているのか、さらに詳しく分かってくるでしょう。
「北海道にはカマキリがいない」といわれた理由
北海道出身の方の中には、「子どものころはカマキリを一度も見なかった」と感じる方も多いでしょう。
それも不思議ではありません。
渡島半島以外の北海道では、以前の記録の多くが単発的でした。本州から運ばれた花や苗木などに卵のうが付着し、北海道で孵化したと考えられるケースも指摘されています。
実際、1970年代の札幌市内の園芸店では、多数の幼虫が確認されたものの成虫まで成長できず、世代交代も起こらなかったと推測されています。
昔の道央では「一時的に現れても冬を越して増えるところまではいかない」という状況だったと考えると、現在との違いが分かりやすくなります。
北海道でオオカマキリは定着し始めているのか
現在の重要なポイントは、「見つかったか」ではなく「北海道で世代交代できているか」です。
北海道博物館は2024年ごろには、道央圏でも定着・繁殖・越冬して個体数を増やし始めた可能性があると考察しています。
さらに2025年の野幌森林公園では幼虫だけでなく成虫や卵のうまで確認されました。自然ふれあい交流館では7月9日に幼虫が見つかり、8月以降は多数の成虫、9月28日には卵のうも確認されています。
幼虫が成虫になり、その成虫が産卵するところまで進めば、一年間の生活環を北海道内で完結できる可能性が高まります。
ただし北海道全域に定着したわけではありません。地域差が大きいため、今後も継続した観察が必要です。
オオカマキリが北海道で増えた理由とは
「どうして急に増えたの?」という疑問は、多くの人が抱くところでしょう。原因を一つだけに絞ることはできません。北海道博物館の研究からは、夏から秋に十分な気温が得られること、卵の越冬条件、積雪など、複数の条件が組み合わさっている可能性が見えてきます。
温暖化と夏から秋の気温が生育を後押ししている可能性
オオカマキリが繁殖するには、春に孵化した幼虫が寒くなる前に十分成長し、成虫になって産卵する必要があります。
そのため北海道では、冬の寒さだけでなく、春から秋にどれだけ成長できる気温が確保されるかが重要です。
近年は札幌でも夏の高温が目立ちます。札幌市も「さっぽろ生き物さがし2025」の結果で、オオカマキリなどこれまであまり見られなかった生き物が報告されており、気候変動の影響なのか今後も注意して見ていきたいとしています。
ただし「温暖化だけが原因」と断定するのは早計です。
人為的な移動や積雪環境なども関係するため、複数の要因を合わせて考える必要があります。
雪の下がオオカマキリの卵を寒さから守る
意外ですが、北海道の雪がオオカマキリを守っている可能性があります。
北海道博物館が野幌森林公園周辺で調査した卵のうは、地上8~86cmで見つかり、平均の高さは約23cmでした。全国的な調査よりかなり低い位置です。
この高さなら冬になると卵のうが雪に埋まります。
研究では、オオカマキリの卵のうが凍り始める温度はマイナス18~20℃程度とされています。
一方、雪の中は外気より温度変化が小さく、地面に近い場所では比較的0℃に近い環境が保たれます。
つまり深い雪は、厳しい冷気から卵を守る「断熱材」のような役割を果たしている可能性があるのです。
苗木などに付着した卵のうが持ち込まれる可能性もある
オオカマキリが北海道へ広がる経路を考えるうえで、人間の物流も無視できません。
オオカマキリは枝や丈夫な植物の茎に卵のうを産み付けます。そのため、本州から北海道へ運ばれる苗木や植物に卵のうが付いていれば、気付かないまま移動する可能性があります。
過去に札幌の園芸施設で確認された幼虫についても、本州以南から運ばれた苗木に付着した卵のうが原因だった可能性が指摘されています。
ただ、現在の道央で見られる増加をすべて物流だけで説明するのは難しいでしょう。
持ち込まれた個体が北海道の環境で繁殖できるようになり、その後周囲へ分布を広げている可能性も考える必要があります。
北海道でオオカマキリを見つけやすい時期と場所
北海道でオオカマキリを探すなら、季節と環境を意識するだけで見つけやすさが変わります。何となく森の奥へ入るより、草地と森林の境界やススキが茂る場所をゆっくり観察するのがおすすめです。初めて大きな個体を見つけたときは、その迫力に驚くかもしれません。
オオカマキリの成虫は夏から秋に探しやすい
北海道では夏から秋がオオカマキリを観察しやすい時期です。
春から初夏には小さな幼虫が活動し、脱皮を繰り返して成長します。夏になるにつれて大型化し、晩夏から秋には見つけやすい成虫になります。
野幌森林公園でも2025年7月に幼虫が確認され、8月以降に多数の成虫が見つかりました。
目安としては、7月から10月ごろを中心に探すとよいでしょう。
特に8月後半から9月は体の大きな成虫を見つけやすくなります。秋には産卵も始まるため、成虫だけでなく植物の茎についた卵のうを探す楽しみもあります。
草原や林縁・ススキの多い場所を探してみる
オオカマキリを探すなら、深い森林の中より、日当たりのよい草地や林縁を意識してみましょう。
バッタ、チョウ、ハエなど獲物となる昆虫が多く集まる場所は、オオカマキリにとっても狩りをしやすい環境です。
北海道博物館が野幌森林公園周辺で調べた卵のうでは、確認された産卵植物の92.5%がススキでした。
そのため秋から冬に卵のうを探す場合は、ススキの茎を観察すると見つかる可能性があります。
ただし植物を折ったり、むやみに卵のうを持ち帰ったりする必要はありません。見つけた場所と日付を記録し、写真で残すだけでも十分に価値のある観察になります。
野幌森林公園や札幌市内でも観察例がある
北海道でオオカマキリを探す代表的な場所として注目されているのが野幌森林公園です。
2025年には自然ふれあい交流館周辺や大沢口周辺で幼虫、成虫、卵のうが確認されています。
また2026年には札幌市の西岡公園でも公式にオオカマキリの採集例が紹介されました。
札幌市内の住宅地や公園でも目撃されているため、大規模な自然公園だけを探す必要はありません。
草地、河川敷、公園、学校周辺、庭などでも出会える可能性があります。
ただし観察するときは立入禁止区域へ入らず、それぞれの公園や施設が定める利用ルールを守りましょう。
北海道のオオカマキリの特徴と見分け方
北海道で大きなカマキリを見つけると、「これは本当にオオカマキリ?」と迷うことがあります。色だけで判断するのではなく、体の大きさや翅、卵のうなど複数の特徴を見るのがポイントです。写真を撮る場合も、背中だけではなく横や翅が分かる写真を残すと同定しやすくなります。
オオカマキリの大きさや体色を確認しよう
オオカマキリは日本で見られるカマキリの中でも大型です。
成虫はおおむね7~9cmほどになり、大型の雌では9cmを超えることがあります。
名前から「緑色の巨大なカマキリ」を想像しがちですが、体色には緑色型だけでなく褐色型もあります。そのため色だけでは判断できません。
大型で細長い体、発達した鎌状の前脚、長い翅などを総合して観察しましょう。
似た種類との識別では後翅の色や胸部の特徴などを見る方法がありますが、写真だけで迷った場合は無理に断定しないことも大切です。
背面、腹側、前脚、翅などを複数方向から撮影しておくと、後から専門家に確認してもらいやすくなります。
オオカマキリの卵のうには特徴がある
秋から冬は、成虫ではなく卵のうを探すのもおすすめです。
カマキリは卵を一個ずつむき出しで産むのではありません。泡状の物質で多数の卵を包み込んだ「卵のう」を植物の茎や枝などに作ります。
オオカマキリの卵のうは、ふっくらした泡状の塊に見えるのが特徴です。
国立科学博物館附属自然教育園では、オオカマキリの卵のうの中には200~300個ほどの卵があり、寒さや乾燥、衝撃などから守られていると紹介されています。
北海道では特に低い位置のススキなどに付いた卵のうが注目されています。
冬は成虫がいなくても、雪が積もる前なら卵のうを観察するチャンスがあります。
北海道の冬を卵で越すオオカマキリの生活史
オオカマキリは成虫のまま北海道の厳冬を乗り切るわけではありません。
秋に産卵したあと成虫は寿命を迎え、次の世代は卵の状態で冬を越します。春から初夏になると幼虫が孵化し、夏にかけて脱皮を繰り返しながら大きくなります。
北海道で定着できるかどうかは、この卵が冬を越せるか、さらに孵化した幼虫が秋までに成虫へ成長できるかという二つの条件が重要です。
近年の野幌森林公園では、低い位置に産み付けられた卵のうが積雪に覆われることで、厳しい低温から守られる可能性が指摘されています。
雪国だから絶対に越冬できない、とは単純に言えないところが興味深い点です。
北海道でオオカマキリを見つけたときの観察方法と注意点
北海道のオオカマキリは、分布が大きく変化している途中と考えられます。そのため何気ない一件の目撃でも、場所や日時が正確なら将来の分布調査に役立つ可能性があります。珍しいからとすぐ持ち帰るより、まず写真と記録を残すことをおすすめします。
写真と発見場所を記録すると貴重な分布データになる
オオカマキリを見つけたら、まず写真を撮っておきましょう。
記録しておきたい項目は次のとおりです。
- 発見した年月日
- 市町村や公園名
- 成虫・幼虫・卵のうのどれか
- おおよその大きさ
- 周囲が草地・森林・住宅地などどのような環境だったか
- 可能なら複数方向から撮った写真
北海道博物館の2025年の調査も、市民や昆虫研究者などから寄せられた多数の目撃情報によって分布の変化を明らかにしています。
「家の庭に一匹いただけだから価値はない」と思う必要はありません。
何年も同じ場所で記録が続けば、その地域で越冬・繁殖していることを考える重要な手掛かりになります。
捕獲よりも自然な状態での観察を優先しよう
オオカマキリは大きく、子どもにとっても魅力的な昆虫です。飼ってみたいと思うこともあるでしょう。
ただ、分布調査という意味では、まず自然の状態で写真を撮ることをおすすめします。
公園や自然保護地域では昆虫採集について独自のルールが定められている場合もあります。観察前に施設の公式情報を確認してください。
また、オオカマキリが北海道で増加しているからといって、個人の判断でむやみに駆除する必要もありません。
道南では古くから記録があり、道央での分布拡大の仕組みについても現在研究が進んでいる段階です。
見つけた個体を静かに観察し、記録を残す。それだけでも十分に北海道の自然を知るきっかけになります。
北海道でオオカマキリを観察できる代表スポット
近年の公式な確認記録から注目したい場所が、野幌森林公園と西岡公園です。
野幌森林公園自然ふれあい交流館では、2025年に周辺で多数のオオカマキリが確認されています。
入館は無料で、5~9月は9時~17時、10~4月は9時30分~16時30分です。
月曜日は原則休館となるため、訪問前に公式サイトで最新情報を確認しましょう。
北海道博物館も野幌森林公園に隣接しており、オオカマキリの研究を行っています。
5~9月は9時30分~17時、10~4月は9時30分~16時30分です。
総合展示室は一般800円ですが、料金や休館日は変更される場合があるため公式情報の確認をおすすめします。
札幌市豊平区の西岡公園では2026年にもオオカマキリが確認されました。
管理事務所は9時~17時で、地下鉄澄川駅などからバスを利用できます。
北海道で大きなカマキリに出会ったら、それはもう「北海道では珍しいはずの虫」だけではなく、変化する北海道の自然環境を目の前で見る機会なのかもしれません。
まとめ
オオカマキリは北海道でも確認されており、特に近年は札幌・江別など道央で分布の変化が目立っています。
道南では古くから記録がありますが、2025年には石狩低地帯を中心に確認地点が急増し、2026年にも札幌市内で確認されています。
背景には、夏から秋の気温、卵の越冬、積雪による保温、人為的な移動など複数の要因が関係している可能性があります。
夏から秋に草地や林縁、ススキの多い場所を歩く際は少し注意して探してみてください。見つけたら日時や場所、写真を残しておくと、北海道で進む生き物の分布変化を知る貴重な記録になります。今後の調査によって、北海道でどこまで定着域が広がるのかにも注目です。



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